ども!ぴーすけ(@psuke_firstdoor)です。まだ見ぬ不動産の扉を開けたくて、このブログを始めました。2017年から不動産賃貸業を始めて、正しい知識と考え方でやれば、勝率高く取り組めることを実感する日々です。そのためにも、常に勉強!今回の記事では、その一端をシェアしたいと思います。良かったら、お付き合い下さい。
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書籍『「家賃ゼロ」構想が日本の常識を変える』以来、気になっていた大川護郎氏の会社が、「銀行取引停止処分」を受けたとのニュースを目にしました。正直、まだ分かってないことも多いんですが、同氏が代表を務めるANGELO社のウェブサイトに誤字脱字が目立つことが引き金になって、「ちょっと危ないかも」とは思ってました。まさに、神は細部に宿る。一方で、氏の提唱する家賃ゼロ構想には、少なからず共感する面もあって、実現できたら面白いのでは?と思う気持ちもありました。そこで今回は、今の時点で「家賃ゼロ」が日本に普及する可能性について、考察してみたいと思います。
「家賃ゼロ構想」とは何だったのか?
大川さんが提唱した「家賃ゼロ構想」とは、所有する賃貸物件の入居者などに専用のアプリを使って貰い、掲載される広告の売上で賃料を賄うことで、実質的に家賃の支払い負担を無くす、というものでした。
大前提は、高層ビルの少ない地方都市(兵庫県姫路市)×市内の賃貸物件の数%を保有している、という条件です。
姫路市だと、高い建物でも10階程度だそうで、障害物の少ない環境が、市内でWi-Fi網が機能することを可能にしたようです。

加えて、「姫路市内の賃貸物件に住む人」に集中的に広告配信できるプラットフォームがあれば、重宝する企業などがあったことも想像できます。
所有する賃貸物件を広告メディアとして捉える発想の転換は、素直に面白いものと感じました。
2019年頃には実用化の一歩手前まで進んだようですが、現在では専用アプリもダウンロードできず、残念ながら計画は頓挫してしまった模様です。
「家賃は入居者が支払う」という常識を疑ってみる
実は、不動産賃貸業に携わって割と日の浅い段階で、似た発想を抱いたことがありました。すなわち、「家賃は入居者が支払う」という当たり前を疑ってみたくなったのです。
僕自身、家賃を支払うのが嫌で賃貸併用住宅を検討した経験もありましたし、良くも悪くも業界歴が少ないことを生かせるうちに、柔軟に頭を働かせたかったこともあります。
まず考えたのは、入居者から賃料を頂かなくとも不動産賃貸業が成り立つ条件です。
流石に無料だと立ち行かないですから、その分を誰かに補って貰うことになります。「誰か」の選択肢として思いつくのは、公的機関・法人・(入居者以外の)個人の3つです。
このうち、公的機関が家賃を負担する形態としては、いわゆる「生活保護」が該当すると考えています。中には、これを専門にした事業者も存在するくらいなので、既に1つの市場として確立していると言えます。
次に、法人が支払い手になる形態については、広告「以外」にも「家賃補助」や「法人契約」など、間接的にせよ既存事例があります。
最後に、入居者でない個人が賃料を負担する形態については、今のところ「親族」以外のパターンが思い当たりません。
そうした中で、公的なサービスを除いて、第三者が料金を負担するとなれば、やはり入居者に相応のメリットを提供して貰うのが現実的です。とすれば、住む人の「消費者」としての面に注目して、広告の受け取り手とする発想は悪くないように思われます。
一方で、いくつかの難しさもあると感じたことも事実です。
- 企業に広告を出して貰うためには、まとまった数の入居者が必要(少なくとも数千人)
- 賃貸物件に住む人の所得は相対的に低い→企業にとって魅力的な消費者か?
特に1点目は深刻で、規模のことを考えたら、日本でこの構想を形にできる個人は冒頭に挙げた大川さんくらいかもしれません。あとは、レオパレスや大東建託のように数多くの物件を手掛けた会社か、かなり規模の大きな独立系の管理会社であれば、実現可能性は高まるはずです。
ということで、ほぼ個人商店の不動産賃貸業者が営むには不相応と判断して、結局はひとまず保留!となりました。
これからの日本で家賃ゼロ賃貸は生まれるか?
今Googleの検索窓に「家賃ゼロ」と入力してみると、1ページ目に表示される結果は「初期費用ゼロ」に関するもので占められています。
将来的に、この結果が劇的に変わって、本当に賃料の支払い負担なく住める物件で占められる日は訪れるのでしょうか?
可能性はあると踏んでいます。
前提には、日本の人口が減り続ける中で、新築物件を建て続けないと立ち行かなくなる事業者が多いという業界の構造があります。
不動産賃貸業が成り立つ家賃の下限は3万円台と考えていますが、今や札幌市や横浜市などの中核都市であっても、賃貸物件が供給過剰になった結果、家賃水準がこうしたラインまで下がっています。
これは流石に業界としての失敗だとしても、「賃料設定は保ちたい、でも支払い能力のある人の数が不十分」となった時に、誰に払って貰うか?を再考する事業者は登場してくるはずです。
その時、完全な家賃ゼロ実現とはならないかもしれません。
ですが、地域相場より1万円安いだけでも、競合としては驚異です。
たとえば、自身が所有する物件に太陽光発電を設置して電気を賄い、電気代を無料にするオーナーが現れるだけでも、かなりのインパクトがあるはずです。
本気で不動産賃貸業を営むのであれば、近隣にこうした物件が生まれる可能性も常に念頭に置いた上で、できれば先手を打ち、新しいモデルを開拓したいものですね。
それでは、今回はここまで。また書きますね!
--参考---